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チック・コリアとジャズ

 少し日にちが経ちましたが、間違いなく自分が今まで大きく影響を受けてきたと思われるピアニストの1人であるチック・コリア氏が旅立たれました。79歳との事でしたが、それまでの精力的な活動は常にクリエイティブで、常にポジティブで、そして常にファンを楽しませてくれている方でした。

 自分がチック・コリアというピアニストを知ったのはいつ頃なのか考えてみたのですが、手元にあるCDで『Remembering Bud Powell』という作品があり、恐らくこれが自分が最初に買った彼のCDだと思います。タイトル通り、ジャズピアニストであるバド・パウエルに捧ぐ…というコンセプトの作品でもあり、今思うと何故このCDを最初に買っていたのか不思議ではあるのですが(笑)、1997年作品であるところを考えると、当時の自分が高校2年〜3年生でジャズ研究会に入っていて、色々なピアニストをとにかく知りたがっていた時期だったのでしょう。この作品に参加しているサックスのジョシュア・レッドマンが友人に聴かされて既に知っていたので、その繋がりもあって当時のチックの最新作でもあるこのCDに辿り着いたのかもしれません。



 当然、その時はバド・パウエルというピアニストの存在もそんなに知る由もなく、要するにチック・コリアという人がバド・パウエルという人の曲を沢山やっている…というような印象だったでしょうか。ただ、当時の自分はとにかくジャズピアノの雰囲気を耳に叩き込みたい感じがあったので、何度も何度も聴いていたような記憶はあります。

 その後、チックの作品を色々と聴くようになり、この作品はバド・パウエルという、所謂自分ではない他のピアニストをかなり意識した演奏であったり、アレンジであったりする事が分かったりしたのですが、ある意味で器用な人だとも思ったものでした。

 ご存知のようにチックの作品、特にスタジオ録音の作品は、時にシンプルなピアノトリオ編成があるかと思えば、フュージョン、ラテン、そしてロック感溢れるものだったり、そしてソロやデュオ、オーケストラ編成のものもある等、本当に様々な形態で音楽を発信しています。それが全てビシッと違和感無い世界観に仕上がるのですから、テクニカルな部分は勿論ですが、その才能恐るべしと言ったようなところでしょうか。そしてやはり「器用だな」という感想も出てきてもしまうわけですが、それでもやはりチックの音楽を何度も聴いてしまうのは、やはりそのフレーズ、ハーモニー、タッチの一貫した独特さが強烈に魅力だからだと思います。

 ジャズピアノをやり始めて2年ぐらいが経っていた高校2年〜3年生当時の自分は、今までずっとやってきていたクラシックピアノらしさが抜けず、なかなかジャズのフィーリングが掴めずにいたのですが、このチック・コリアの演奏を改めて聴いて驚いたのでした。なんか今まで教わってきた感じともまた違う…と。しかし、当時はそれが良いのか悪いのかさえ分からずにいましたし、何ならその事に関しては賛否両論が定説(要はジャズらしくないと思われている)でもありました…。ただ、1つだけ確かだったのは、自分的にはとても好きなフレージングだったという事です。


 …この思い一筋で、自分はチック・コリアをずっと聴いてきたような気がします。正直、ジャズらしいかどうかは二の次で、チックが次にどのようなフレーズを弾くのかが楽しみで仕方なかった…という感じでしょうか。だからこそ、その後の自分のピアノ演奏にも影響してましたし、自然と曲作りの参考にもしていたのかもしれません。

 そう言えば冒頭に紹介したCDで印象に残った曲の1つが“Bud Powell”という曲でした。この曲がこのCD唯一のチックのオリジナル曲。チックの書くオリジナル曲も大好きです。大好きというか、そこをまた超えた魅力があるとでも言いましょうか…。有名な“Spain”を筆頭に、“La Fiesta”、“Armando's Rhumba”、“500 Miles High”等々…、挙げたらキリがありませんが、チックの音楽を聴いてきた者の1人として、これからも自分も弾き続けていきたいと思います!

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