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GINZA SIX にて『Flower × Piano』

 4月半ば頃の16日(金)、17日(土)、18日(日)の3日間、GINZA SIX 開業4周年に伴って行われた『Flower × Piano』というイベントに出演をさせて頂きました。GINZA SIX の3階に位置する、吹き抜けパブリックスペースにグランドピアノが置かれ、ジャンルを問わず多くのピアニストが、ある意味ゲリラ的に演奏を行うというもので、特定ピアニストによる演奏開始時刻というのは特にアナウンスされないままイベントは行われました。これはコロナ禍でもあり、事前告知による集客の密を防ぐ為でもあったとの事ですが、とても面白いイベントで、自分としても3日毎に異なった雰囲気を楽しませて頂きました。



 まず GINZA SIX に足を運ぶと、入口でグランドピアノのシルエットを模ったカードが配布されており、しかも時間帯によっては一輪のお花まで添えられていました。それだけでも今回のイベントへの力の入れようが分かるというものですが、前述のパブリックスペースに足を運ぶと、グランドピアノが2台、丁寧に向かい合わせに置かれていて、しかもその内の1台は、まるでピアノを花瓶に見立てたかのように、そしてそこから零れ落ちる以上に豪華な花々が生けてあるではないですか。この為に中身の弦を丸ごと取り外したそうで(故に、鍵盤を弾いても音は出ません)、このような姿を見るのは初めてでした。ピアノから音というお花が溢れている光景をイメージしたものらしく、正に『Piano × Flower』を体現化したものとも言えるでしょう。GINZA SIX からの、とても刺激的な空間を提供しているという意思を強く感じたものでした。



 基本的にはソロピアノでの演奏を行い、これはピアニストによるのでしょうが、自分は最初の2日間は1ステージずつのみで、最後の3日目だけは数ステージが用意されていました。

曲もなるべく被らないように、…とは言えジャズからポップスまで、わりと皆さんの耳にも馴染みのある曲を中心に弾いてきました。やはりこのような空間でピアノの音色というのは耳に残るらしく、弾いているとどこからかお客さんが足を運んでくれて、そして足を止めて演奏を聴いてくれます。そうなると自分も、BGM らしい演奏から徐々にライブモードへと変わっていき(笑)、ノリの良い曲も弾いたり、時に有名曲も弾いたりして、言わば即興的な雰囲気作りを楽しませて頂きました。スタンダードの“Days of Wine and Roses”を挨拶がわりに弾かせて頂いたかと思えば、春らしい感じで松任谷由美さんの“春よ、来い”、そして椎名林檎さんの“カーネーション”や、歌詞に「クレマチス」が出てくる“茎(STEM)”等々が今回ならではの特徴的な選曲だったでしょうか。



 そして、3日目に試練は起こりました。この日のステージでは幾つかデュオピアノという時間が用意されているのですが、もう1台のピアノは…というと、なんと吹き抜けの先の向かいにそれが用意されているのです(右上写真参照)。広い空間を利用した GINZA SIX らしい試みだとも思いましたが、お互いの距離が想像以上にある為、もう1台のピアノの音がなかなか聞き取る事が出来ません。このような状態でデュオ…と言われても、相当難易度が高いように思いました。そんな時、今回のデュオのお相手であるピアニストの木村イオリ君からの提案で、時計アプリでお互いに時刻を確認しつつ、00秒になったらどちらかがソロで弾き始めて、30秒たったら交代して弾いて…と、眼から鱗のような(笑)演奏アイデアを頂けました!…キーだけ決めて、あとは即興で繋いでいくのですが、確かに自分達的にはこれが安心なのです。更に、今度は時刻ではなく、曲の小節数を決めて交代して弾き合う…というのも挑戦してみて、デュオピアノの時間を楽しく過ごす事が出来たのでした。


 そんなデュオピアノの楽しさをイオリ君とお互いに話していたところ、今度はソロピアノのステージの時間がやってきたわけですが、せっかくだから1曲連弾でやらない?と提案したところ、快く承諾もしてくれました。こうして急遽、連弾というステージが実現したのですが、これは前述のデュオピアノから生まれた発想だったので、本当に即興的なアイデアでやらせて頂きました。そして、だからこそ良い演奏にも繋がったような気がします。



 デュオステージの後、自分のソロステージが2回、イオリ君のソロステージが1回あったので、それぞれ“Spain”、“Caravan”、“Looking Up”等をやらせて頂きました。選曲についても、お互いの好きなピアニストを話しているうちに出てきた曲でもあり、勿論リハーサルはしていないのですが、だからこそ白熱しました。この時になると本当に多くのお客さんに足を運んで貰えていて、とても盛り上がった時間を過ごせたと思います。最初このステージを拝見した時、こんなに熱量の高い演奏をするイメージはなかったのですが、やはり白熱するものですね(笑)。貴重な機会に感謝でした。



 実はイオリ君とは、この演奏の1ヶ月後、2ヶ月後に、グランドピアノを2台使ったデュオピアノでのワンマンライブが再び予定されていて、今回、図らずもその前哨戦のような時間にもなりました。…とは言え、このような雰囲気の中でやれたデュオピアノライブは間違いなくここだけのもので、個人的にも良い経験になったと思います。現在ではイベントというもの自体が開催されにくい状況ではありますが、GINZA SIX 4周年記念に、こういった形で関われてとても光栄でした。どうもありがとうございました!


☆GINZA SIX のHP…https://ginza6.tokyo


☆木村イオリ君のHP…http://iorikimura.com

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