この記事では、2019年12月に行われた、フルートの西仲美咲さんとの沖縄ツアーについて書かせて頂きます。以前、高頻度で一緒にライブをやらせて貰っていた西仲さんとの共演は、今回本当に久し振りで、〔竹内大輔の写真日記2、西仲美咲&竹内大輔、共演10周年記念ライブ参照〕以来、約2年以上振りという事になりました。更に沖縄で…となると、それこそ3年振りぐらいな感じになるのだと思いましたが、このタイミングでお誘い頂いて嬉しかったです。
このライブが決まったのが2019年の10月半ば頃でしたが、その月末となる10月31日未明に那覇の首里城で火災が発生したのは記憶に新しいでしょう。沖縄出身の西仲さんは勿論ですが、沖縄に何度も足を運んだ自分としても何だか喪失感は大きく、しかも今回のライブは首里城近くのお店で行う事にもなっていました。…これも何かの巡り合わせという事で、会場ではオリジナル Tシャツを販売する事を決定。売上を沖縄美ら島財団、首里城基金へと寄付させて頂き、自分も僅かながら協力させて頂きました。色々な想いが交錯されて臨んだ今回の沖縄ツアー。少し振り返ってみたいと思います。
2019年12月15日(1日目)
沖縄に向かうこの日の前日(12月14日)は、〔黒船、『NIGHT FLIGHT TOUR』ファイナル東京編〕を羽田空港のお店にてお送りしていて、自分はライブ後そのまま空港近くのホテルに宿泊。そして一夜明け、再び羽田空港へと向かいました。流石に時間には余裕があり、これから3時間近いフライトの前でもゆったりと過ごす事が出来ました。この日は全国的に良い天気で、機内からも良い風景が望めそうです。
早速、搭乗前には飛行機越しに富士山も見えました。自分は機内は左側の席だったので、ルート上、機内から富士山は見えなさそうですが、那覇空港着陸時には良い景色が期待出来るでしょう。冬型の天候なので、恐らく那覇空港は南側からの進入になると予想できます(北風と予想でき、飛行機は基本、逆風で離着陸を行うので)。…となると、渡嘉敷島などの慶良間諸島も望めるでしょうか。
…と、これから沖縄入りする気持ちを楽しみながらフライトを堪能。そしてやはり沖縄の海は美しかったです。上写真の岡波岩(オカハジマ)上空で着陸30〜40秒前ぐらいといった感じでしょうか。そして右写真の瀬長島越しには、完成間近となる那覇空港2本目の滑走路が見えました。瀬長島もだいぶ開発が進んでいるみたいです。やはり、久し振りに足を運ぶと景色も変わってきます。
西仲さんは既に沖縄入りをしており、市内にて合流。そして、首里城を遠くに臨みながら首里エリアに入り、今回の演奏場所である首里 Conte(コント)というお店に到着しました。沖縄の食材を中心とした食事ができるカフェのようなお店で、ナチュラルな雰囲気はとても居心地が良さそうです。
お店の一番奥にはアップライトピアノが置かれ、ここが今回のステージとなるようです。天井も適度に高く、静かな住宅街に綺麗なピアノの音が響き渡っていました。ここでは、不定期ではありますがコンサートを幾度に亘って行なっていて、沖縄の方は勿論、内地(沖縄県以外の日本)からもミュージシャンがよく訪れてくるのだとか…。そんな一員になれた事に光栄でもあります。
今回スペシャルゲストとして、“金細工(くがにぜーく)またよし”の又吉健次郎さんの姿があります。その昔、首里王府の命により中国に渡り金細工の技術を修得した初代から7代目にあたる方で、世界でただ一人だけの方と言っても良いでしょう。以前から西仲さんとお付き合いがあり、実は自分も参加した西仲さんのCDアルバム『LEQUIO HISTORIA』に、その工程の音が収録されているのでした。
今回はその再現として、それをライブ中に「共演」という形で行うというものです。又吉さんは1931年の生まれという事で、ご無理はしないように…と思ってしまうのですが、今回、喜んでの共演となった事が嬉しいです。実はこの世界に入る前はラジオ局で働いていたそうで、音楽も本当に好きなのだそうです。確かに、金細工を叩いている音にはリズムが存在し、音楽とは関係が深そうです。
リハーサルから本番までの時間、楽屋では又吉さんと直接お話しをさせて頂く事が出来ました。その中で印象的だったのが、「この作業は、自分の作りたいものを作るのではなく、琉球の文化、伝統をそのまま引き継いでいるだけ。」という言葉でした。それは、長い伝統を引き継ぐ覚悟を持った方ならではの説得力がありました。そして、その真っ直ぐな姿勢こそが、人の心に届くものが生まれるのでしょう。これから行うライブステージのハードルも上げつつ、いよいよ本番の時間となりました。
この日は満席となっていて、本当に沢山の方々にお越し頂けました。前述のように、自分の沖縄訪問は約3年振りだったわけですが、何度もライブを行なったからこそ知り合いになれた方も多く、その方達との再会が出来たのも嬉しかったです。また、西仲さんとの共演は約2年振りでしたが、西仲さん自体がライブをあまりやっていなく、この日の本当に久し振りに迎えるステージだったの事。なかなかな緊張感がありましたが(笑)、それがまた良かったように自分は思いました。琉球民謡の曲、西仲さんオリジナルの曲、そしてジャズスタンダードと、自分達の以前のレパートリーを余す事なくお届けしていきます。
そして又吉さんとの「セッション」が始まりました。曲は琉球民謡(童歌)の“赤田首里殿内(あかたすんどぅんち)”。首里の祭礼で歌われ続け(一度途絶えるも、1994年に復興)、今なお沖縄県で親しまれている曲です。以前リリースさせたアルバムに収録されていましたが、今回の為に、ゆったりとしたテンポに再アレンジ。500年前から変わらない槌音との協調を目指しました。
この時間は特別なものでした。それまで緊張感もあり、笑いもあり、和やかな時間もあった Conte での空間は、一変して空気が張り詰める中、これまでにない温かみのある空気が辺りを包んだような気がしました。自分達演奏陣のアレンジも決めてはいましたが、その中でエンディングはどのタイミングで終わらせるかは決めておらず、それこそその場の空気感に任せる感じで臨んでいました。思ったより長い演奏になったかもしれませんが、ジャズらしい即興の部分もありつつ、良い調和の時間が出来ていたように思いました。
この日のハイライトになった事は間違いないでしょう。アンコールも起こり、カバー曲である“夜間飛行”という曲をフラダンサーの橋本実優さんと共に披露させて頂きました。こちらも温かい時間になったのではないかと思います。
こうして約2年振りとなった西仲さんとのライブは終了となりました。色々な要素を詰め込んだステージになりましたが、沖縄発という存在を随所に見せてくれた、西仲さんならではのライブになったのではないかと思います。ちなみに、集合写真で皆が来ている Tシャツが今回グッズとして販売したものです。そして、又吉さんを囲んでのショットは貴重かもしれませんね。皆さんどうもありがとうございました!
打ち上げはここ Conte で行われ、美味しいお酒と美味しいご飯をたらふく頂き、沖縄の夜を楽しみました。西仲さんとのこういった時間も久し振りです。またライブが出来たら良いですね。お疲れ様でした!
2019年12月16日(2日目)
この日は東京に戻る日。本当にあっという間ですが、実は西仲さんとの沖縄ツアーでは、このパターンが結構多かったりします(笑)。那覇空港で販売している大東寿司(大東諸島周辺産のサワラの寿司)を購入し、機内で頂きたながら、また機内からの景色を楽しむ事にしましょう。
…とは言え、沖縄周辺の湿度が高かったのか、離陸した直後は晴れていたのが、暫くすると外が雲がかってきてしまい、あまり見れない状況になってきてしまいました。そのまま雲上飛行が続き、晴れて海も望めるようになってきた頃には既に本州上空を飛んでいました。
そんな中見えてきたのが、着陸30分前ぐらいから望める富士山です。最初は駿河湾越しに見え、じきに伊豆半島越し、そして大島上空、相模湾越しにとその舞台を変えていきます。右上写真は横須賀市越しのものになります。この日が個人的に、2019年最後の遠征という事にもなり、自分へのご褒美のような景色を堪能しながら、再びに次ぐ再び、羽田空港へと戻ってきたのでした。
☆西仲美咲さんのHP…http://www.switch-co.com/misaki/
☆首里(沖縄)Conte のHP…http://conte.okinawa
☆金細工またよしのHP…https://kuganizeiku-matayoshi.com
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